奉公〜咆哮1番外編〜
 ハゲでは無いが、熊ちゃんも少し薄毛が気になるお年頃だ。

ヌシャーラの接待は北田に任せた方がいいかも知れない。


∴◇∴◇∴◇∴


 今日は早めに帰れて良かったのだが、済し崩し的に予定が終了してしまったので、関口警部に挨拶も出来なかった。

「常識無い男だと思われてないかな」

 いつものカラオケ店『ヴァシーラ』で反省会だ。

「そんな事無いわよ。あっち(ラマネリ側)の都合だもの。それよりっ」

  ダンッ

 里美がテーブルを叩き、演説でもぶつ勢いで立ち上がる。

「アタシ、今回のオペレーションから外れられないかしら。
 あのガキ、もう辛抱出来ないわよ!」

「有事の時はどうする。連携が崩れるだろう」

「どうせ何も起きやしないわよ、じゃあ……」

 里美は少し考えてから続けた。

「じゃあ音力から男のエージェントを寄越して貰ったら?」

 現在音力には我々を含め、3チーム11人のエージェントが居る。他のチームは4人編成で動いているのでこの人数である。

俺達にも1人加えないかと音力側から打診が有ったが、裏蠢声操躯法の秘密保持との兼ね合いから「今のコンビネーションを崩したくないので」と言って断っている。

「でも、他のメンバーは所属しているチームが有るし……大阪と福岡だから、来て貰うのも悪いしなぁ」

「だってセクハラよ? あいつ、アタシの身体に興味は無いかもしれないけど、完っ全に『性的嫌がらせ』じゃない!」

 興奮して里美は言う。確かにそうだが……どうも気が進まない。

「一応根岸さんに掛け合ってみるか」

 早速根岸に電話する。

『……そうですか。今日の明日は無理ですが……実は今、チームを組織する迄待機している所謂フリーのエージェントが3人居ますので、明後日には彼等の中から1人や2人は送り込めると思います』

「お手数ですが、宜しくお願いします。
 現場経験が無い人なら、2人は欲しい所ですが……」

『善処します。それでは早速手配に掛かりますので、失礼いたします』

 すぐに交代するのは無理だと解って里美は不服そうだが、後1日だ。我慢させるしか無い。


< 23 / 36 >

この作品をシェア

pagetop