奉公〜咆哮1番外編〜
 それに明日は午後1時にラマネリ大使館へ集合して打ち合せの予定だ。朝はゆっくり寝ていられる。

「里美、そういう事でどうだ?」

 栗原に気付かれないように里美へ目配せする。彼女は顔を一瞬輝かせたが、すぐ真顔に立て直して仕方なさそうに承諾した。

「解りました。後1日頑張ればいいんでしょ」


∴◇∴◇∴◇∴


 あの後栗原をなんとかまいて、やっとあり付けた久し振りのお泊まりだ。

宿もすぐ見つかり、俺は準備万端でベッドに寝転んでいる。今日のオペレーションでかなり気は遣ったが、体力は殆んど消耗していない。

 ぐうの音も出ない位に里美を可愛がってやるとするか。

余裕でタバコを吹かしていると、軽い足取りでバスローブに着替えた里美が戻って来た。

「もう! 淳ったら、身体で払おうって事ねっ? じゃあたっぷり頑張って貰わなきゃ!」

 その威勢のいい言葉とは裏腹に、潤み切った里美の眼が俺を見つめる。

 た、たまらん。

「端からそのつもりだよ。今夜は寝かさないから覚悟しとけよ?」

 先にベッドでスタンバイしている俺の横に、バスローブ姿の里美が滑り込む。

「電気は消してね?」

「見られるの、好きなんだろう?」

「久し振りだから恥ずかしいのっ! 女心が解って無いわねっ!」

 里美がヘッドパネルの調光ダイヤルを回すと、辺りはぼんやりとほの暗い間接照明だけになった。

「ああっ! 淳ったら、もうこんなになってる。ふふふ」

 長い夜になりそうだ。


∴◇∴◇∴◇∴


「淳っ! 淳ってば! ……もう、全然クチ程に無いんだからっ。
 眠るのは少しだけじゃなかったのっ?
 ……んもうっ、知らないっ!」

 里美は諦め、俺に背を向け寝てしまった。ご存知の通り、アフタースリープ程心地良い物は無い。加えて俺の神経疲れも相当の物だったようで、少しだけのつもりが一晩中寝てしまったのは致し方ない事だった。


< 24 / 36 >

この作品をシェア

pagetop