奉公〜咆哮1番外編〜
しかし、2台に分かれて乗り込む時に王子が吐いた台詞が悪かった。それに加え『(仮称)通じる君』の訳も悪かったのだ。
「さ、行こうか。……でも胸が踊るよな。
公式訪問じゃさすがに歓楽街等へは行けないから!
そう、気分良く行きたいから牛はバスで着いて来い。
ささ、栗原さんと坂本さんはこちらに……牝は不浄の物だからな。汚いキタナイ」
「! なっ!」
これが通訳さんなら、気を遣ってここまで悪辣な訳はしなかったろう。もっとやんわり伝えた筈だ。
昨日は俺の甘言で辛うじて機嫌を保っていたが、こうまで言われたら普通は黙っていられない。しかしここで王子の機嫌を損ねたら、今迄の苦労が水の泡だ。俺は伝達の【闘】(トウ)を使って必死に里美をなだめすかしてバスに乗せたのだ。
∴◇∴◇∴◇∴
案の定里美は、身体に陽炎をまとってバスのタラップを降りてきた。彼女が放つ鋭い眼光の先にはロタリパ王子が居る。
「お? 坂本さん、あれを見てみろ、凄い迫力だ」
どうやら王子は里美をおちょくって楽しんでいるらしい。
今日一日は里美に我慢させればいいと思っていたが、怒りを押さえ付けるのも限界が有る。
俺は【闘】を使い、里美に或る事を指示をすると王子に言った。
「王子、内密のお話が有るのですが、こちらに宜しいですか?」
俺は『(仮称)通じる君』と共に王子を物陰へ連れて行った。
「これは最重要極秘事項なんですが、王子にはお知らせせねばと思いまして」
「なんだ坂本さん、改まって」
「いや、山崎の事なんですが……彼女、エスパーなんです。
そして唯一日本政府が公認するスナイパーでも有ります」
「またまたぁ! 坂本さんも冗談が過ぎるぞ?
だがそうだとしてなんだ? 不都合でも有るのか」
「王子のお戯れが過ぎるようなので、ご進言致した次第です。
あれをご覧ください」
俺が街路樹を指し示すのと殆んど同時に里美が切断の【陣】(ジン)を放った。
「さ、行こうか。……でも胸が踊るよな。
公式訪問じゃさすがに歓楽街等へは行けないから!
そう、気分良く行きたいから牛はバスで着いて来い。
ささ、栗原さんと坂本さんはこちらに……牝は不浄の物だからな。汚いキタナイ」
「! なっ!」
これが通訳さんなら、気を遣ってここまで悪辣な訳はしなかったろう。もっとやんわり伝えた筈だ。
昨日は俺の甘言で辛うじて機嫌を保っていたが、こうまで言われたら普通は黙っていられない。しかしここで王子の機嫌を損ねたら、今迄の苦労が水の泡だ。俺は伝達の【闘】(トウ)を使って必死に里美をなだめすかしてバスに乗せたのだ。
∴◇∴◇∴◇∴
案の定里美は、身体に陽炎をまとってバスのタラップを降りてきた。彼女が放つ鋭い眼光の先にはロタリパ王子が居る。
「お? 坂本さん、あれを見てみろ、凄い迫力だ」
どうやら王子は里美をおちょくって楽しんでいるらしい。
今日一日は里美に我慢させればいいと思っていたが、怒りを押さえ付けるのも限界が有る。
俺は【闘】を使い、里美に或る事を指示をすると王子に言った。
「王子、内密のお話が有るのですが、こちらに宜しいですか?」
俺は『(仮称)通じる君』と共に王子を物陰へ連れて行った。
「これは最重要極秘事項なんですが、王子にはお知らせせねばと思いまして」
「なんだ坂本さん、改まって」
「いや、山崎の事なんですが……彼女、エスパーなんです。
そして唯一日本政府が公認するスナイパーでも有ります」
「またまたぁ! 坂本さんも冗談が過ぎるぞ?
だがそうだとしてなんだ? 不都合でも有るのか」
「王子のお戯れが過ぎるようなので、ご進言致した次第です。
あれをご覧ください」
俺が街路樹を指し示すのと殆んど同時に里美が切断の【陣】(ジン)を放った。