奉公〜咆哮1番外編〜
 結局俺達はその日のショータイムを2回見て、ニューハーフ達とのひと時を満喫した。

酒でベロベロになった王子は言う。

「余は満足ら! お持ち帰りは出来んにょか?」

 俺は「さすがに公人なのだからそこ迄はお控え下さい」と嗜める。王子も些か遊び疲れた様子で「まぁ仕方ない」と納得した。


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 ママ始め、店のコンパニオンが全員出て来て、俺達を見送ってくれた。常連を放っといていいのか? とも思ったが、ロタリパ王子がもたらした儲けを考えれば当然か。

「楽しかったにゃ、坂本さん。ジュリって子が気に入ったみたいだにゃ」

 元来胸の小さい女性には全く魅力を感じない俺が、ジュリにはすっかり魅了されてしまった。それを王子に見抜かれていようとは!


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 関口警部と監視・狙撃隊に別れを告げ、俺達がラマネリ大使館に着いたのは、もう真夜中だった。

 すっかり寝静まっている筈の官邸にこうこうと明かりが灯っている。気配から、かなり中も騒がしいようだ。

「坂本さん。栗原さん。そして帰ってしまったが山崎さんにも伝えて欲しい」

 リムジンから降り立った王子が、急に真顔になって話し始めた。


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