小さなチワワの大きな秘密
「泣くの?」
ストレートに現れたのは、
椎名由優。
「椎、名君」
別に私の問掛けには答えず、由優は笑いもせずラジコンを動かし続けた。
私がそれの細い手を見つめていると、由優はラジコンを止めた。
前を向いたまま。
「──…何?同情してる?」
「同情…って。違うよ?何も知らないもん」
私が笑いながら言うと、由優はまたラジコンを動かし始める。
(健康そうだけどな)
「学園祭の劇、どうして出ないの?」
ガシャン。
由優の手がリモコンを落とす。
───空。
ラジコンはその場で回り続ける。
───由優の顔?
押し倒されて、ます?