小さなチワワの大きな秘密
「…」
「そう、いつもはそうは思われない。チワワ的な男の子だから。少なくとも本性は…どっちか判らないけれど」
「…どういうこと?」
由優は自嘲的に口許を歪めた。
「隠れ狼、と分類されるらしい」
「隠れ、オオカミ…」
(最悪だ)
嫌な人間に捕まってしまった。
「がおー」
そう言って、由優は私の制服から出た肩に軽く歯を立てた。
「…──!あ」
「じゃ。下手に動かないようにね」
「…」
私が由優をふと見た。
「食べられるよ」
チキチキチキ。
カシャン。
由優はカッターの歯を目一杯出して、その場に捨てた。