小さなチワワの大きな秘密

私はスキップをしたいような気持ちをそっと押さえて予鈴が鳴っている教室へ戻った。

「あ、映依。何処行ってたの?」

何処かいぶかしむような声だった。

「ちょっと校舎見てまわってたの。今日移動とか多かったでしょ?」

「あー!…言ってくれれば案内したのに」

「そんな、悪いよ」

麻耶が笑っていて良かった、なんて私は思っていた。

(私、最低なのかも知れない)



鉢月さんの味方ばっかりは、していられなさそう。









「地図だってまだ…全部出来てな…っ」

「うん…」

「このまま、私達どうしたらいいの!」

中学生らしいといえば中学生らしい、そんなしけた感動モノの劇の練習が目の前で繰り広げられている。

「どう、映依!」

「凄いよー!凄い!感動した」

「ありがとー!」


私の拍手に皆嬉しそうにしていた。


(拍手でこんなに喜んでくれるなら)


──楽?


「感動系でしょ感動系!」

「うん、絶対泣くー」


(そー…こまでは。)


「じゃもっかい通そー」


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