小さなチワワの大きな秘密
「言い過ぎじゃないかな」
麻耶はその声の主を真っ直ぐ見た。
私を。
「…私は確かに第三者で、関わっちゃいけないんだろうね。だって鉢月さんが麻耶の嫌がる何をしたとか、何も知らないのに、彼女を迫害なんて出来ないよ」
「──…もういいよ…!」
「映依は…私らの味方じゃないって?」
麻耶の怖い位の笑顔に私も笑顔で応えた。
・・・
「ううん、お友達だよ」
麻耶が瑞穂を勝ったという目で見る。
「でも誰がどっちの味方…とか、そういうのは…無くそうよ」
麻耶は瑞穂をちら、と見た。
瑞穂が辛そうに視線を落とした。
「…じゃあ、鉢月と映依は友達?」
「同じクラス、友達」
「鉢月も?」
「…──三崎さんは仙石さんの友達!」
そう言うと鞄を捨てて瑞穂は走り去った。
「待っ…」
「映依、放っとけ」
「──…」
怖かった。
白い教室の筈が、暗い教室に見えたのは、きっと気のせい。
(気のせい。きっときっと気のせい)