小さなチワワの大きな秘密
私がうろたえていると、教師は支える手をぱっと離した。
ドサ。
由優が重力に任せたように重くその場に崩折れる。
「!?」
血。
血が、散った。
教師はそれを見下ろして、私を一瞥してから保健室へ戻っていく。
「待っ…」
扉が閉まる。
私は床に膝を付いて由優の背中に手を掛けた。
ビク。
由優が怯えたような反応を私の手に返した。
「だ…大丈夫?」
そう呼び掛けると頭が少し動いて、私と目が合った。
「鉢月…」
「瑞穂が中に居るの!?」
由優が頷く。
彼の手が私の手を引っ張った。
「俺のせいで」
トッ。
そんな音を立てて、雫が床に一粒落ちた。