小さなチワワの大きな秘密
四、 羊の舞う秋
エピ×ローグ
「じゃあ高橋さん158ページ最初読んで」
「はーい」
メロスは激怒した。
必ず、かの邪知暴虐の王を除かなければならぬと…
「…で、あれからどうなったの?」
「え?」
半分寝ていた由優がこちらを向く。
メロスは、村の牧人である。
笛を吹き、羊と遊んで暮らして…
「別に…家帰って、夕飯」
「なんだぁー」
「何期待してんの…何も無いよ」
…出発し、野を越え山越え、十里離れたこのシラクスの町にやってきた。
「あ」
「へ?」
「2R行ったとか、そういうこと?」
この妹は、村のある律儀な一牧人を、近々花婿としてむかえることになっていた。結婚式も…
「何言ってんの!」
由優が耳を塞ぐ。
教室中が私たちを見た。
それくらい大きな声だった。
「え、あ…いえ、すみません」
「落ち着いてね?」
「はい」
先生が優しくてよかった。
由優を見ると、彼は机に突っ伏してクツクツと笑っていた。
「笑わないでよ…恥ずかしい」