小さなチワワの大きな秘密
四、 羊の舞う秋

エピ×ローグ


「じゃあ高橋さん158ページ最初読んで」

「はーい」

メロスは激怒した。
必ず、かの邪知暴虐の王を除かなければならぬと…

「…で、あれからどうなったの?」

「え?」

半分寝ていた由優がこちらを向く。

メロスは、村の牧人である。
笛を吹き、羊と遊んで暮らして…



「別に…家帰って、夕飯」

「なんだぁー」

「何期待してんの…何も無いよ」

…出発し、野を越え山越え、十里離れたこのシラクスの町にやってきた。


「あ」

「へ?」



「2R行ったとか、そういうこと?」





この妹は、村のある律儀な一牧人を、近々花婿としてむかえることになっていた。結婚式も…




「何言ってんの!」





由優が耳を塞ぐ。

教室中が私たちを見た。

それくらい大きな声だった。

「え、あ…いえ、すみません」

「落ち着いてね?」

「はい」


先生が優しくてよかった。


由優を見ると、彼は机に突っ伏してクツクツと笑っていた。

「笑わないでよ…恥ずかしい」


< 45 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop