小さなチワワの大きな秘密
「失礼」
「あーもう…」
ちら、と斜め前の空席を見つめる。
瑞穂は、あれからすぐ転校した。
皆忘れてしまったみたいになっているけど、私たちは一生彼女を忘れることはないと思う。
「文化祭明日だね…」
「うん」
「あれ?椎名何部?」
「弓道」
「え、ええっ?」
「言わなきゃ良かった」
由優が窓の外に目を移す。
「何かやるの?」
「公開練習らしいね。俺は出ないけど?」
ふぅん、と私が取り忘れたノートを急いで書き拾う。
「平和第一だね」
「何か違くない?」
「良いの。椎名お払いでもしてもらえば?」
「やだよ」