【完結】─続─泣き虫姫のご主人様






「俺……馬鹿じゃね?」




「どこが?」




「どこがって、お前……俺は今まで散々お前の事苦しめて、泣かせて……やっと手にいれた。それだけで十分なのに……それなのに俺、この期に及んで今度は束縛って……はぁ……情けねぇ」




 稚尋は大きなため息をついた。


 ペパーミントの吐息が鼻孔をくすぐった。









 胸が熱い。


 どうして自分だけ、そうやって思い込んじゃうのかな。




 だから、闇が深まっちゃうのに。




 それは稚尋の悪い癖。







 あの時の稚尋みたいに。


 今度はあたしが包んであげる。



 これ以上、そんな顔なんて見たくない。









 あたしが望むのは、笑顔のアナタだけ。











「……いいじゃん。ヤキモチ」







 フワッ



 澪は自分の両手を稚尋の首に回した。







< 128 / 256 >

この作品をシェア

pagetop