【完結】─続─泣き虫姫のご主人様
「いいんですよ。僕こそ、すみませんでした……あの時は、ついカッとなってあんな事……」
「っ……! 全然!」
歩きながら、二人の会話は続いてゆく。
「僕……澪さんみたいな女性、初めて見たんです」
「え?」
あたしが泣き虫って事?
お節介って事?
「あたし、普通の女子だよ?」
それほど、澪には何がなんだかわからなかった。
「違いますよ! 澪さんみたいに、他人のために一生懸命になって……人のために泣ける人。初めてだったから」
ギュッ
そう言って、握られた手。
自分よりも大きな弥生の手の平に体をびくつかせながらも、必死に平然を装ってみせた。
上手く出来たか、わからないけど。
.