【完結】─続─泣き虫姫のご主人様







「弥生君……?」




 平気な訳ない。








 いくら笑っても、隠しきれていないものがある。



 そう考えると、無性に胸が痛んだ。






 正直。





 あたしには弥生君が悪い人には見えない。







 稚尋はどうしても好きになれない、解り合えない奴だって言うけど。





 雛子は弥生君がどうしようもない、手のつけられない奴だっていうけど。









 本当にそうなんだろうか。




 少なくても、あたしにはそうは見えない。


 人間、何もなくこんなに大人っぽくなれるはずがない。











 それに見合った苦労を重ね、初めて見える風格だと思う。






 稚尋と同じ様に、弥生君もそれなりの苦労を重ねてる。










 あたしには、彼がそう映った。








< 156 / 256 >

この作品をシェア

pagetop