【完結】─続─泣き虫姫のご主人様
「弥生君……?」
平気な訳ない。
いくら笑っても、隠しきれていないものがある。
そう考えると、無性に胸が痛んだ。
正直。
あたしには弥生君が悪い人には見えない。
稚尋はどうしても好きになれない、解り合えない奴だって言うけど。
雛子は弥生君がどうしようもない、手のつけられない奴だっていうけど。
本当にそうなんだろうか。
少なくても、あたしにはそうは見えない。
人間、何もなくこんなに大人っぽくなれるはずがない。
それに見合った苦労を重ね、初めて見える風格だと思う。
稚尋と同じ様に、弥生君もそれなりの苦労を重ねてる。
あたしには、彼がそう映った。
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