【完結】─続─泣き虫姫のご主人様



 何であたし、震えてるの?




 何で、泣いてるんだろう。












 どうして、こんなにあったかいの…………?






「弥生……君」











「僕が澪さんに告白したのは、嘘じゃありませんよ?」





「え?」





 頭上で、弥生が笑ったのが分かった。



「こんなふうに、人の為に涙を流せる優しい女の子なんだって、知ってますし」








「あたし……そんなにいい子じゃないよ」



「じゃあ悪く言ってお人よし?」









 その言葉と共に、あたしは弥生君の腕から開放された。


 そして一方の弥生は澪と少し距離を置き、コンクリートの壁にもたれ掛かった。





「……ねぇ澪さん」





 彼の瞳は虚で、どこか遠い場所を見つめているようだった。



「僕はね……本当は、すごく馬鹿で、惨めなちっちゃい男なんですよ」










 そのさびしそうな横顔が、稚尋と被り、澪は両目を擦った。








 あまりに、似過ぎていたから。













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