【完結】─続─泣き虫姫のご主人様
「そんな事な「そんな事、あるんですよ」
澪の言葉を遮って、弥生は微笑した。
「だいたい、僕はまだ中学生のガキです。けど……わかります? 中学生だって、頭の中はもうそれ程子供じゃないんですよ」
知ってる。
あたしだって、稚尋だってすっごく悩んだ時期があったから。
中学生だって、もう半分大人なんだよね。
「……うん」
「僕は、ずっとずっと想ってたヒトに……大嫌いって、言われたんですよ」
そう言って、弥生は自身の下唇を噛んだ。
まるで、自身の感情を吐き出させまいとするかのように。
澪は頬が冷たくなるのを感じ、そっと手をのばす。
涙は渇いていたが、まだ流れているような感覚があったのだ。
それはきっと、掘り起こされた、過去の痛みだろうか。
「……あたしも、わかる」
澪は静かに呟いた。
.