【完結】─続─泣き虫姫のご主人様
* * *
「兄さーん! ここ。ちゃんとかたずけてよねー」
「は? ここは俺の私有地なんですけど」
「いつ決まったの?」
「今」
「フッ……餓鬼」
「はあぁぁぁぁぁっ!? ここは俺のアパートだぁっ!」
同居している稚尋と弥生。
まぁ、一方的に弥生が居候しているだけなのだが。
「兄さんはガサツだから、僕……本当疲れるんだけど」
そう言って、弥生はわざとらしく大きなため息をついた。
「それなら出てけ」
「うっわー。実の弟をこんな寒空の下に追いやるなんてー。訴えてやるー!」
あぁ。
だから嫌なんだ、こいつの兄貴は!
でも最近は、こんな口喧嘩も出来るようになった。
昔は、口さえきかなかったのに。
弥生は俺から自由を奪った奴で、どうしても好きにはなれない相手で……
そんな考えを払拭してくれたのは、澪。
完全に弥生を認められた訳じゃない。
でも。
それでもこうやって、兄弟喧嘩が出来る。
俺と弥生にとっては凄い事なのだ。
.