【完結】─続─泣き虫姫のご主人様






 昔からそうだった。



 どんなに願っても、1番手に入れたいものはどうしても手に入らなかった。





 つくづくついてない女だとは思う。


 それでも一度くらいは……そんな淡い期待すら叶った試しはないのだ。








「ちょっと疲れててさ、ほら……澪も意外と惚気ますから」


 そんな冗談を口にしながら、渇いた笑いを向けた。



 何が何でも。
 最後は雛のプライドを守ろう。


 そう決めていた。








 必死に雛子がついた冗談に、聖夜は一瞬真面目な表情になり、言った。







「俺、お前がそう言ったって……この関係崩すつもりはないよ」


 雛子を見つめる聖夜の瞳は何の迷いもない、真っすぐなものだった。


 その強い意志の宿った瞳に雛子は言葉を失ってしまう。








 完全に雛の負けだ。
 また一つ、不幸が増えるだけ。
 そう考えれば、案外楽になれるかもしれない。



 ギュッ



 雛子は聖夜に気付かれない様に強く自身の拳をにぎりしめた。











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