【完結】─続─泣き虫姫のご主人様





「ねぇ」


 声をかけると、無防備なまま振り返った聖夜と目が合う。




 色素の薄い瞳に見つめられると、先程までの威勢はどこへやら、何も言えなくなってしまう。






 やっぱり……言えない。


 “好き”
 だなんて。



「ん?」



 だから。
 せめてもの抵抗のつもりで、作られた完璧な笑顔を向けた。






 だから。
 不幸な私の分まで、幸せになって。









「頑張ってね」













 雛は幸せになんか、なれないんだから……








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