【完結】─続─泣き虫姫のご主人様
雲一つ無い星が広がる夜空を見上げる一人。
広いリビングで唯一聞こえるのは携帯のボタンを押す機械音だけだった。
今夜は兄がいない。
兄は学校行事のため、学校に泊まるらしい。
そんな訳で、今夜は久しぶりの一人の夜を過ごす事になった。
物音一つしない室内。
今まで一人暮しなど経験したことがなかったせいもあって、今のこの空間がとてつもなくさびしいもののように思える。
兄にとって、僕が来る前までの普通―……。
大人と思っていたが、いかんせん自分はまだ子供なのだと自覚する。
情けなくて、思わず苦笑いを浮かべてしまった程だ。
そんな状況の中、途中で止まったメール文。
【今、何してるの? 僕】
宛先は告白する勇気もチャンスもない、あの人へ。
まともに会話なんて出来る筈もない。
自分は嫌われているのだ。
昔のような、あの鋭い瞳。
鋭利な刃物のようなあの言葉。
もう一度言われてしまったら、今度こそ立ち直れないと思った。
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