【完結】─続─泣き虫姫のご主人様








『今度、ちゃんと会いたい』




 あの言葉を雛子に言ってから一週間。








「よっ、遅いよ! 弥生」




「あ、あぁ……悪い」







 今、あり得ない状況が目の前にある。










「ていうか……なんで僕と会う気になったの?」







 雛子からの誘いで、今日は二人で遊びに行く予定なのだ。





 弥生が眉を下げながら言うと、雛子は得意の小悪魔スマイルでニコリと笑った。







 嗚呼、もう。


 本当、心臓に悪い。








「理由は必要? 会いたいって言ってたから、会いに来ただけじゃない」




 本当に、彼女には敵わない。



 普段の僕は、こんな高飛車な女に心揺られることはない。


 むしろ苛立ちを覚えるくらいだ。







「あ、うん……ありがとう」




 それなのに。





「大丈夫。中学生に集る程、困ってないから。お金!」





 彼女に笑顔を向けられると、どうしようもなく胸が締め付けられるのだ。







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