【完結】─続─泣き虫姫のご主人様





 僕が雛子を引っ張らなくちゃ。




 彼女は傷心で、僕はそれに漬け込む悪い男。







 でも。




「ガキのくせに……生意気」




 それでいいや。






「ガキだから、生意気なんだよ」









 紅潮した雛子の頬に弥生はまだ気がついていない。





 強く握りしめられた右手は、決して離れることがないように、しっかりと繋がっていた。







「バカ……」







 ねぇ、兄さん。




 兄さんはバカだよ。







 この子を、手放してしまうなんて。










 僕なら絶対手放さないのに。












「バカで結構」




 ニコリと笑ってみせる。




 そう、これが僕。





「憎たらしい笑顔」









 何を言われてもいい。









 今、この時が。







 つかの間でも、この時間が続くのならば。












.
< 223 / 256 >

この作品をシェア

pagetop