【完結】─続─泣き虫姫のご主人様








 混乱する弥生の横で、雛子はうつ向いたまま。


 しかしボソリと何かを呟く雛子。




 その言葉に、弥生は自分の耳を疑った。










「今日は……失恋したの忘れようとして、思いっきりはしゃいだの。そしたら、なんでかな……」




「何?」







「あんただったからかなのかな……凄く、楽しかったの」







「えっ」





 ズルい。
 それは反則だ。






 そんなこと言われたら、嫌でも期待してしまうじゃないか。







 脈なんてないことくらい、随分前から知っている。





 割りきった関係だったはずだ。





 そのはずだったのに。













「変だよね、弥生のことなんて……大嫌いだったはずなのに」




 雛子はそう言って、眉を下げて笑った。







 まるで、兄さんの癖のように。









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