【完結】─続─泣き虫姫のご主人様





 すると、弥生は雛子の異変に気がついた。








「ひ、な……?」






 雛子の小さな手が、小刻みに震えていたのだ。











 次の瞬間、絞り出すような雛子の笑い声が聞こえた。










「……はっ、温かいね弥生は……」




 弥生の背中に回された雛子の手に力が入る。





 弥生に必死にしがみつく雛子の姿は、温もりを求める幼子に重なった。












 今にも消えてしまいそうな雛子の姿に、弥生は意を決する。








 そして。









「ごめんね」






 優しく雛子の体を抱きしめた。





 その瞬間、雛子の体が強張る。



 それでも、弥生は抱きしめた腕を解こうとはしなかった。






.
< 229 / 256 >

この作品をシェア

pagetop