【短】雨の日の出来事
それから涼くんとは、クラスのこととか、授業のこととか。
本当にたわいもない話ばっかりしてた。
「あ、そろそろ時間かも」
ふと、時計に目をやってから立ち上がる。
「あーそうだな」
涼くんと話をしてたおかげで、気づいたらそろそろバスが来る時間。
退屈なのも、どっか行った。
「涼くん、ありがと。また明日ね!」
私は手を振って、玄関を出ようとしたら。
「あ、ちょ、ちょっと待って!」
突然、涼くんに引き止められた。
「どうしたの?」
「えっと……。俺も、帰るかな」
そう言って、涼くんは鞄をひょいと持ち上げた。
「あれ? 待ってる人いたんじゃなかった?」
「あー……何か遅いし。いいかな」
「いいの?」
「うん」
ぽり、と頭を掻く涼くんに疑問をもったのは事実だけど。
涼くんが言うなら、いいのかな。
「そっか。じゃあ、そこまで一緒に帰ろ!」
「おう」
涼くんは、また笑顔だった。
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