【短】雨の日の出来事
「梅雨、いつになったら終わるかなぁ」
傘から手を少し出して、ザーザー降る雨にあたる。
「もう少しじゃね?」
「早く終わんないかなっ」
「雨、嫌い?」
涼くんが、隣の傘から隣の私の顔を覗く。
「うん。 なんか、寂しくない?」
「寂しい?」
「そう。 辺りは暗いし、雨の音もちょっと不気味だし、嫌だな」
雷だって怖いし、湿気もすごいし。
「そっか。俺は、そうでもないかな」
「えーなんで?」
「んー……。 なんか落ち着くじゃん」
「えー! 静かで嫌じゃん!」
「そこが、落ち着くんじゃん?」
涼くんはニヤリと笑って見せたけど、私はきっと今すごく仏頂面。
私はやっぱり、雨は嫌いだな。
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