愛花~アイノハナ~
20XX年4月 早朝
地域では進学率の高い県立宋果学園の入学式
地元でも有名なこの学校の制服に袖を通した。
「美侑ぅ!!入学式9:30からでしょ?入学式から遅刻するき!?」
ヤバっ!!
そんなことを思いながら勢いよく自宅の階段を駆け降りた。
リビングに入り焼かれた食パンを咥え玄関に向かう。
「母さん、9:00に学校に行くからね。それとパンを咥えながら走らないの!!全く...女の子なんだから...」
「そうだぞ、美侑っ!!そんなんだから15年間彼氏がいないんだよっ!!外見は俺と竜に似て可愛いのに...なぁ、竜??」
「僕に振るなよ」
「晴兄に言われたくないね」
「はいはい。美侑は早く行かないと遅刻して入学式早々笑われるわよ」
時計を見ると8:00を回っていた。
「本当だっ!!行くのに20分以上掛かるのに!!」
「美侑っ!!お前遅刻なんかすんなよっ!!俺と竜の母校なんだから!!渡部家に泥を塗るようなことが無いようにっ!!」
「晴...うるさい。泥塗ってたのはお前の方だろ。美侑いってらっしゃい」
竜兄の言葉に軽く頷き、なんだよぉ...という晴兄の言葉を背に慣れないローファーに履き替え、玄関の扉を開け外に飛び出した。
「行ってきますっ!!」
私の名前は渡部美侑(ワタベミウ)。
今日から進学校宋果学園に通う一年生です。
宋果学園とは有名大学に進学する率が地域1を誇る名門学校です。
外壁も県立にしては豪華な造りで、冷暖房完備、屋内テニスコートなど最新設備が整ったスーパー県立高校なのです。
こんなに設備が整っているので学費も他と比べたら若干高いですが、入学説明会のときの教室からの眺めに一目惚れしこの学校に決めたのです。
そんな学校に通うことになった私ですが偏差値が30以上下で必死の受験勉強の末見事この学校にギリギリ合格することが出来たのです。