虹色に輝けば
「驚いた?」
「すごく。ちょっと羨ましいけど、使いたいとは思わない」
「まあね、色々面倒だから。人間の命を食らうのも…ね」
苦笑いをして、パチンともう一度指を鳴らせば、それは消えた。
「この隣の部屋が、ユキの部屋だからね」
細い指で、隣のドアを指差した。
私は、立ち上がってそのドアをあける。
造りは疎か、家具の配置すらも同じ部屋だった。
「気に入った?」
「どの部屋も一緒なの?」
「うん、でも普段使わないよ。迷うこともないよ、僕が居るんだから」