月と太陽の事件簿9/すれちがいの愛情
「そっちのオバケ?」
妙な言い回しに対し思わず訊き返すと、リカちゃんは「あ」という口の形を作った。
「なんでもないの」
あわてて首を振る彼女は明らかに動揺していた。
リカちゃんはあたしの手を放した。
「リカのうち、もう近くだから」
指さす先には古ぼけたアパートがあった。
「お姉ちゃん、リカがオバケの話をしたこと、ママには言わないでね?」
リカちゃんは顔の前で、そっと手をあわせた。
その可愛らしい仕草に、思わず頬が緩む。
「言わない。約束する」
あたしは何度もうなずいた。
「バイバイお姉ちゃん」
リカちゃんは手を振りながらアパートに向かって駆け出した。
ランドセルしょったその背中に手を振りながら、あたしはふと思った。
夏が終わり空が高くなってきたとはいえ、残暑はまだ厳しい。
昼間はまだ汗ばむ陽気が続いている。
でもなぜリカちゃんは、長袖を着ているんだろう?
妙な言い回しに対し思わず訊き返すと、リカちゃんは「あ」という口の形を作った。
「なんでもないの」
あわてて首を振る彼女は明らかに動揺していた。
リカちゃんはあたしの手を放した。
「リカのうち、もう近くだから」
指さす先には古ぼけたアパートがあった。
「お姉ちゃん、リカがオバケの話をしたこと、ママには言わないでね?」
リカちゃんは顔の前で、そっと手をあわせた。
その可愛らしい仕草に、思わず頬が緩む。
「言わない。約束する」
あたしは何度もうなずいた。
「バイバイお姉ちゃん」
リカちゃんは手を振りながらアパートに向かって駆け出した。
ランドセルしょったその背中に手を振りながら、あたしはふと思った。
夏が終わり空が高くなってきたとはいえ、残暑はまだ厳しい。
昼間はまだ汗ばむ陽気が続いている。
でもなぜリカちゃんは、長袖を着ているんだろう?