月と太陽の事件簿9/すれちがいの愛情
同級生
それから数日後のある日、外出から捜査一課室に戻ると、上司の岸警部に呼ばれた。
「日野、お前に来客だ」
「来客ですか?」
「奥の応接室に待たせてある」
そう促され、行ってみると、そこには1人の女性がいた。
青と白のストライプの清楚なブラウスに紺色のパンツ。
年齢はあたしと同じぐらいで、薄茶色の髪は染めているようだった。
「ひさしぶりね、麗美」
ひさしぶりと名前を呼ばれたからには、この女性はあたしの知ってる人間だろう。
しかし困ったことに、あたしの方は女性の顔も名前も、まったく思い出せなかった。
「わからない?」
彼女はあたしの表情を読み取った。
「あたしよ、淑恵」
「あ…!」
そう言われ、10年以上前の記憶がよみがえった。
淑恵は中学の時の同級生だった。
少し太めで、眼鏡をかけたおさげ髪の女の子。
内気で、笑顔を見せた事はあまりない。
自分の事を「あたし」ではなく「わたし」と呼ぶ子だった。
「日野、お前に来客だ」
「来客ですか?」
「奥の応接室に待たせてある」
そう促され、行ってみると、そこには1人の女性がいた。
青と白のストライプの清楚なブラウスに紺色のパンツ。
年齢はあたしと同じぐらいで、薄茶色の髪は染めているようだった。
「ひさしぶりね、麗美」
ひさしぶりと名前を呼ばれたからには、この女性はあたしの知ってる人間だろう。
しかし困ったことに、あたしの方は女性の顔も名前も、まったく思い出せなかった。
「わからない?」
彼女はあたしの表情を読み取った。
「あたしよ、淑恵」
「あ…!」
そう言われ、10年以上前の記憶がよみがえった。
淑恵は中学の時の同級生だった。
少し太めで、眼鏡をかけたおさげ髪の女の子。
内気で、笑顔を見せた事はあまりない。
自分の事を「あたし」ではなく「わたし」と呼ぶ子だった。