月と太陽の事件簿9/すれちがいの愛情
「言いたくなかったら、別にいいのよ」

訊いておいてなんだけどさ。

「ありがとう。でも麗美には言ってもいいかな」

目を伏せたまま、声だけをあたしに向ける。

「あの子、クラスで変わり者扱いされてるの」

「変わり者?」

「あの子、家にオバケが出るとか言ってなかった?」

うなずきかけて、あわてて首を振る。

オバケの話は聞いてない約束だ。

「麗美ってウソつけない性格だよね」

淑恵の言葉に、あたしは努力が無になったことを知った。

「ポルターガイストがどうって話はしたわよ」

仕方なく認めた。

「でもそれって本当なの?」

「食器なんかが割れたりしてるのは本当」

淑恵も認めた。

「でも実際に物が飛ぶのを見たわけじゃないの」


ポルターガイスト現象が起こるのはリカちゃんが家にいる時。

食器の割れる音がして、台所に行くと、おびえた顔のリカちゃんが立ちつくしていたり、机の下に潜っていたりする。

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