月と太陽の事件簿9/すれちがいの愛情
なんとなく気味悪く思った淑恵は、裏庭に新聞や雑誌を置くのをやめ、玄関ドアの外に置くことにした。

「玄関は通りに面してるし、お向かいの目もあるからね。絶対に放火なんかできないと思ってたんだけど…」

玄関外の新聞紙が燃えたのはつい先週の話だそうだ。

時刻は午後3時すぎ。

火に気付いたお向かいさん(大家さんだそうだ)が消し止めてくれたそうだが、不審な人物の目撃証言はまたもなし。

以来、新聞や雑誌を外に置いておくのはやめたそうだ。

「まぁゴミの日に備えて外に出してただけだし、ボヤ騒ぎが起こらなくなったからいいんだけど…」

気味が悪いことには変わりはない。

リカちゃんが火事とポルターガイスト現象を結びつけたがるのにも、淑恵の不安な気持ちに拍車をかけていた。

「変な噂が広まったら、大家さんにアパートを追い出されてしまうわ。だからリカには固く口止めしたの」

< 18 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop