月と太陽の事件簿9/すれちがいの愛情
「じゃ仕事がんばってね、麗美」
立ち去ろうとする淑恵をあたしは呼び止めた。
「淑恵、あんた何か隠してない?」
『つい…』と口ごもった先ほどの態度が気になって仕方なかった。
「悩みがあるのなら連絡して。いつでも聞くわ」
あたしは携帯番号とアドレス入りの名刺を渡した。
「ありがとう」
名刺を受けとりながら、淑恵はつぶやくように言った。
「麗美は全然かわってないね。昔のまんまだ。それに比べてあたしは…」
その口調はどこか儚げでさびしげに感じた。
「また連絡するね、じゃ…」
背を向けた淑恵はその場から足早に立ち去った。
その背中を見送るあたしの胸の奥には、彼女をこのまま帰らせていいのかと、不安な気持ちが広がりつつあった。
淑恵を追いかけようとした丁度その時。
「あの、すいません」
何者かがあたしを呼び止めた。
振り向くとそこには背広姿の男性が立っていた。
立ち去ろうとする淑恵をあたしは呼び止めた。
「淑恵、あんた何か隠してない?」
『つい…』と口ごもった先ほどの態度が気になって仕方なかった。
「悩みがあるのなら連絡して。いつでも聞くわ」
あたしは携帯番号とアドレス入りの名刺を渡した。
「ありがとう」
名刺を受けとりながら、淑恵はつぶやくように言った。
「麗美は全然かわってないね。昔のまんまだ。それに比べてあたしは…」
その口調はどこか儚げでさびしげに感じた。
「また連絡するね、じゃ…」
背を向けた淑恵はその場から足早に立ち去った。
その背中を見送るあたしの胸の奥には、彼女をこのまま帰らせていいのかと、不安な気持ちが広がりつつあった。
淑恵を追いかけようとした丁度その時。
「あの、すいません」
何者かがあたしを呼び止めた。
振り向くとそこには背広姿の男性が立っていた。