月と太陽の事件簿9/すれちがいの愛情
「児童相談所の職員ってことは、日野巡査の友達って…」
「淑恵には、児童虐待の疑いがかかっているんです」
あたしは認めたくない言葉を口にした。
「学校とかから児相へと相談があったの?」
「いえ、淑恵の隣部屋にその児相の職員が住んでるんです」
あたしは菊村の顔を思い出しながら言った。
やや小太りの、人の良さそうな人物だった。
「安アパートなんで、隣部屋の声が聞こえてくるそうなんですけど…」
淑恵がリカちゃんを怒鳴りつける声が、たびたび聞こえるのだという。
リカちゃんが「ごめんなさい」と泣き叫ぶ声を聞いたのも1度や2度ではない。
「その女の子がいたずらなんかして、叱られたんじゃないの」
「あたしもそう考えました」
実際、菊村もはじめはそう思っていたらしい。
だが、その剣幕がただごとではない。
明らかにしつけの域を越えている様である。
ある日、菊村は淑恵の怒声の後、大きな物音を聞いた。
「淑恵には、児童虐待の疑いがかかっているんです」
あたしは認めたくない言葉を口にした。
「学校とかから児相へと相談があったの?」
「いえ、淑恵の隣部屋にその児相の職員が住んでるんです」
あたしは菊村の顔を思い出しながら言った。
やや小太りの、人の良さそうな人物だった。
「安アパートなんで、隣部屋の声が聞こえてくるそうなんですけど…」
淑恵がリカちゃんを怒鳴りつける声が、たびたび聞こえるのだという。
リカちゃんが「ごめんなさい」と泣き叫ぶ声を聞いたのも1度や2度ではない。
「その女の子がいたずらなんかして、叱られたんじゃないの」
「あたしもそう考えました」
実際、菊村もはじめはそう思っていたらしい。
だが、その剣幕がただごとではない。
明らかにしつけの域を越えている様である。
ある日、菊村は淑恵の怒声の後、大きな物音を聞いた。