月と太陽の事件簿9/すれちがいの愛情
その間に火を点け、姿が見えなくなるまで走り去ることは不可能だった。
「おかしな話よね」
大家さんはそう言ったが、あたしの脳裏には『オバケ』の3文字が浮かんでいた。
こっそり火を点けてまわるオバケだなんてこの世(あの世?)にいるのかしら?
そう考えて、なにをバカなことをと思い直し、あわてて首を振る。
「刑事さん?」
大家さんが訝しげな目でこちらを見ていた。
てっきりあたしの行動に対してかと思ったが、視線はあたしの後方に向いていた。
振り向いたそこは大家さんの車のガレージ。
壁はなく、トタン屋根だけの開放されたガレージに、1台の銀色の車が停まっている。
午後の陽射しを受けて、銀の車体は輝いていた。
その車のそばに達郎が屈み込んでいた。
達郎は車のタイヤをじっと見つめ、ホイールを指でつついていた。
「やめなさい達郎」
子供かあんたは。
「あの、うちの車がなにか?」
心配そうな顔で大家さんが言う。
「おかしな話よね」
大家さんはそう言ったが、あたしの脳裏には『オバケ』の3文字が浮かんでいた。
こっそり火を点けてまわるオバケだなんてこの世(あの世?)にいるのかしら?
そう考えて、なにをバカなことをと思い直し、あわてて首を振る。
「刑事さん?」
大家さんが訝しげな目でこちらを見ていた。
てっきりあたしの行動に対してかと思ったが、視線はあたしの後方に向いていた。
振り向いたそこは大家さんの車のガレージ。
壁はなく、トタン屋根だけの開放されたガレージに、1台の銀色の車が停まっている。
午後の陽射しを受けて、銀の車体は輝いていた。
その車のそばに達郎が屈み込んでいた。
達郎は車のタイヤをじっと見つめ、ホイールを指でつついていた。
「やめなさい達郎」
子供かあんたは。
「あの、うちの車がなにか?」
心配そうな顔で大家さんが言う。