月と太陽の事件簿9/すれちがいの愛情
淑恵はうつむき、うわ言のように『あの人』を繰り返しはじめた。
「あたしに暴力を振るっただけでなく、実の娘にまで手を出すなんて…」
淑恵の体の震えは止まらない。
歯がカチカチと鳴り始めた。
「あの人ってあなたの死んだ旦那さんのこと?」
あたしが訊くと淑恵は目を見開き、こちらを向いて『なぜ』という口の形を作った。
「ごめん。事情があってあなたの過去を調べさせてもらったの」
「そうだったの…」
「いい、淑恵。落ち着いて聞いて?」
あたしは淑恵の手を取った。
「あなたの旦那さんはもう亡くなってるの。今さらあなた達に手を出すことなんて、できないのよ?」
「わかってるわよ、そんなこと!」
淑恵が憎しみにも似た顔であたしを見た。
「でも理花があんなことになるだなんて、あの人の仕業以外に考えられないじゃない!?」
そう叫ぶ淑恵の目は血走っていた。
「あたしに暴力を振るっただけでなく、実の娘にまで手を出すなんて…」
淑恵の体の震えは止まらない。
歯がカチカチと鳴り始めた。
「あの人ってあなたの死んだ旦那さんのこと?」
あたしが訊くと淑恵は目を見開き、こちらを向いて『なぜ』という口の形を作った。
「ごめん。事情があってあなたの過去を調べさせてもらったの」
「そうだったの…」
「いい、淑恵。落ち着いて聞いて?」
あたしは淑恵の手を取った。
「あなたの旦那さんはもう亡くなってるの。今さらあなた達に手を出すことなんて、できないのよ?」
「わかってるわよ、そんなこと!」
淑恵が憎しみにも似た顔であたしを見た。
「でも理花があんなことになるだなんて、あの人の仕業以外に考えられないじゃない!?」
そう叫ぶ淑恵の目は血走っていた。