月と太陽の事件簿9/すれちがいの愛情
しかし手をすべらせ落としてしまったのだろう。
リカちゃんは淑恵に対して『お皿が勝手に飛んだの…』と泣きながら言った。
「あたしは理花がやろうとしたことが分かってたので、叱ったりはしませんでした」
淑恵はリカちゃんにケガがないことを確認すると『怖くなかった?』と言って抱きしめた。
「今の話を聞いて確信が持てました」
達郎は一度、大きくうなずいた。
「理花ちゃんにとって淑恵さんはたったひとりの肉親。しかし淑恵さんには仕事もある。自然とすれちがいの時間が多くなってたはずです」
淑恵はうなずいた。
「そんな時、お皿を割ってしまった。しかも勝手に落ちたなどとウソもついてしまった」
しかし、母親は怒らなかった。
しかも自分の話を信じ、怖くなかったかと言って抱きしめてくれた。
さびしい思いをしていた子供にとって、それがどんなにうれしいことか。
あたしにも想像がつく。
リカちゃんは淑恵に対して『お皿が勝手に飛んだの…』と泣きながら言った。
「あたしは理花がやろうとしたことが分かってたので、叱ったりはしませんでした」
淑恵はリカちゃんにケガがないことを確認すると『怖くなかった?』と言って抱きしめた。
「今の話を聞いて確信が持てました」
達郎は一度、大きくうなずいた。
「理花ちゃんにとって淑恵さんはたったひとりの肉親。しかし淑恵さんには仕事もある。自然とすれちがいの時間が多くなってたはずです」
淑恵はうなずいた。
「そんな時、お皿を割ってしまった。しかも勝手に落ちたなどとウソもついてしまった」
しかし、母親は怒らなかった。
しかも自分の話を信じ、怖くなかったかと言って抱きしめてくれた。
さびしい思いをしていた子供にとって、それがどんなにうれしいことか。
あたしにも想像がつく。