月と太陽の事件簿9/すれちがいの愛情
小学校に入学した達郎は夜、ひとりで寝るようになった。
「ただその日はどうも寝付けなくてさ…」
母親の寝室に行った達郎は、お母さんに
『部屋にお化けが出た』
とウソをついた。
するとお母さんは何も訊かず
『怖くなかった?』
と優しい笑顔を浮かべながら抱きしめてくれた。
そしてその夜はそのままお母さんと一緒に寝たそうだ。
淑恵がリカちゃんを抱きしめた話を聞いて、そんな事を思い出したのだという。
なるほどね、それであんなムキになったのか。
「…にしても20年近く前の事よく覚えてたわね」
「母さんに抱きしめてもらったの、それっきりだったから…」
「…!」
そうつぶやいた達郎の横顔を見たあたしの胸が、きゅうんと音を立てた。
やばい…!
もしここが外じゃなかったら…。
ケーキ持ってなかったら…。
2人きりだったら…。
あたし、達郎を抱きしめてたかも…。
「ただその日はどうも寝付けなくてさ…」
母親の寝室に行った達郎は、お母さんに
『部屋にお化けが出た』
とウソをついた。
するとお母さんは何も訊かず
『怖くなかった?』
と優しい笑顔を浮かべながら抱きしめてくれた。
そしてその夜はそのままお母さんと一緒に寝たそうだ。
淑恵がリカちゃんを抱きしめた話を聞いて、そんな事を思い出したのだという。
なるほどね、それであんなムキになったのか。
「…にしても20年近く前の事よく覚えてたわね」
「母さんに抱きしめてもらったの、それっきりだったから…」
「…!」
そうつぶやいた達郎の横顔を見たあたしの胸が、きゅうんと音を立てた。
やばい…!
もしここが外じゃなかったら…。
ケーキ持ってなかったら…。
2人きりだったら…。
あたし、達郎を抱きしめてたかも…。