月と太陽の事件簿9/すれちがいの愛情
家はここからしばらく歩いたアパートだという。

あたしはリカちゃんと手をつないで歩いていたが、どうも気になることがあった。

それは男の子たちとの言い争いにあったオバケの件だ。

確かにオバケは嫌いだ。

けど興味がないワケではない。

ほらよくあるじゃない、オバケは怖くて嫌いだけど、怪談話はなんか聞いちゃうっていう、そんな感覚?

あたしは意を決して訊いてみることにした。

「ねぇリカちゃん、あなたの家にオバケがいるってホント?」

「え…?」

リカちゃんは大きな目をさらに見開いた。

「あ、別にさっきの男の子たちみたいに疑ってるわけじゃないのよ?」

あたしは子供相手にしどろもどろになりながら、好奇心おもむくままに発言したことを後悔した。

「いるよ、オバケ」

あたしの手を握り返す力が一瞬、強まった。

「姿は見えないの。でもいるの」

リカちゃんはつぶやくように言った。

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