月と太陽の事件簿9/すれちがいの愛情
「見えないのになんでオバケがいるってわかるの?」

ここまできたら訊けるだけ訊いてやれ。

「ものがね、飛ぶの」

「物?」

「そう。コップとかお皿がひゅーんって」

リカちゃんはあたしの手を握る反対側の手を振ってその様子を例えた。

「コップやお皿が飛ぶの?勝手に?」

そうでなければ心霊現象ではなかろうに。

何を舞い上がっとるのだあたしは。

「そうだよ。コップやお皿が勝手に飛ぶの」

リカちゃんは淡々とうなずく。

どうやら子供の方が冷静だ。

「ふぅん、ポルターガイストか…」

誰もいない部屋で物音がする。

いつの間にか家具がずれている。

果ては部屋中の物が飛び上がり宙を舞う。

それをポルターガイストという。

映画やドラマでもおなじみの心霊現象だ。

「お姉ちゃん、ママと同じこと言ってるね」

ポルターガイストという言葉にリカちゃんが反応した。

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