カサブタ。短編集。
ひんやりと冷たくて、
気持ちいい。


でも、さすがにここでバレるのはまずいよ?


普通の生徒と同じように扱ってよ。

「大丈夫です。これで終わりなので。」

私は言って笑顔を向けた。

憂は不機嫌な顔で首を振った。

何か言いかけるのを制するように言葉をつなぐ。


「ほら、始まる時間です。」


言うと、
憂は私の頭を撫でた。

「無理だったらすぐに言えよ。」


憂はそう言って、
講義をはじめるために行ってしまった。

頭がクラクラする。

いくら私が憂が関わるすべてに関わっているとはいえ、
あの口のききかたは怪しまれないか?


いつもは普通の生徒と同じように話しかけてくるくせに。


弱ってるときに、
そういう風にするのはズルイ。


憂の声が届く。


講義の時は、
よそ行きの声だ。


それでも、
憂の声が聞こえる場所は安心する。


大学の校内にいれば、
私は憂の壁にいつだって守ってもらえるけれど。

声が聞こえるほど近くは、落ち着く。

悔しいけど。


しかし寒い。

これはいよいよまずいか。


こっそり抜け出して医務室に行こう。


憂の声が届かない場所に行くのは、
今は少し嫌な気がするけれど。


だってさ、



『4:甘え方なんてわからない』

まぁ結局は

憂が講義

打ち切ったんだけどね。



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