ワタシと恋をしましょう!
「どうした?」
「ううん、なんでもないよ。でも、お母さんっていいなーなんて」
暗くなった雰囲気を打ち消すように明るく言った。
少し羨ましかっただけ。
少しだけね。
「ワタシでは不満か?」
彰人さんは、私にそう言った。
「ふふふ、なにそれ。先生がお母さんって私、一生反抗期になりそう」
そうだ、私は一人じゃない。
大好きな人に囲まれた私は、十分幸せだもの。
「今も反抗期だろう?」
「もう!先生!」
早歩きする彰人さんに私は小走りで飛びつく。
ありがとね、先生。
「あーあ、相変わらずいちゃついてるよ…」
数人の男女が近付いてきて、その中の一人の声が聞こえた。
「全く…あのバカップル…」
「そんなにひがまなくても…」
「あら、里奈ちゃん?私に言いたいことでもあるの?」