香る紅
お昼の終わった4時限目。

あったかくてぽかぽかしているから、クラスのみんな、眠そう。

数学っていう教科のせいかもしれないけど。

そんな中。

補助剤を飲んだから、大丈夫だと自分に言い聞かせていたけど。

お昼もせっかく作っていただいたのに、サンドイッチを一つも食べられなかったし。

今。

ものすごく、辛い・・・。

なんだかぐらぐらする。

頭は痛いし、体はだるいし、頭は全然回ってない。

先生が書く黒板をノートに取らなきゃって思うけど、全然無理。

そんなことをする余裕がない。

あとで、祈咲ちゃんにノート見せてもらわなきゃ・・・。

どうしよう・・・。

今日は6限目まである日なのに。

なんとかして耐えないと。

今は座っていれば時間は過ぎていくだけだから、まだいいけど。

次、移動教室だったよね。

耐えられるかな。

そんなとき、机の上にころ、とメモ帳が小さく折りたたまれたものが転がってきた。

祈咲ちゃんからだ。

『織葉、本当に、大丈夫?』

私の顔色を見て、危ないのを察したらしくて、心配してくれたんだ。

大丈夫だよ、っていいたい。

まぁ嘘だけど、嘘でもそう言っておきたかった。

あんまり心配掛けたくなかったし。

けど、笑って肯定するのが精一杯だった。

「・・・!」

祈咲ちゃんは、私の意思表示なんて無視で、今にも立ち上がらんばかり。

そんなやり取りが、先生にばれたらしい。

「じゃあ、このページの問5、篠峯、解いて。問6は御門祈咲。」

先生は無表情で、でもどこか厭味ったらしくそういった。

当てられてしまった・・・。

行くしか、ないか・・・。

なんだか、死刑宣告を下されたような気分。

立ったら、すごく危ない気がするんだけど。

先生に言われた問題を見ると、いつもならなんてことはない問題なのに、頭が働かなくて、全然答えが導きだせない。

答えが出ないことで、パニックしてる気さえする。

祈咲ちゃんは心配しながらも、先生に促されてしまったから先に黒板へと行った。





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