香る紅
Ⅳ
ここ、どこかなぁ?
あったかくて、紅茶のいいにおいがする。
本当は目をあけるほど元気はなかったけど、なんだか気になった
すると、そこは私の部屋だった。
いいにおいを漂わせていたのは、私の好きな銘柄の紅茶。
お供のお菓子まで、しっかり準備ずみ。
その時、右手の不自然に気がついた。
右手だけ、すごくあったかくて、気持ちいい。
「織葉・・・?」
呼ばれて視線だけそちらに向けると、心配そうな顔をした緋凰。
右手があったかいのは、緋凰が握ってくれているからだった。
何もしゃべらず、視線だけしか動かさない私を、余計に心配になったのか、緋凰の手が私の頬に伸びてきて、包み込んでくれる。
なんだか、幸せな状況だな・・・。
この頃の緋凰は、機嫌が悪くて・・・そろそろ、潮時かな、なんて、思っていたくらいだから。
これは・・・夢、かな。
甘えた私が自分に見せる、自分に都合のいいだけの夢。
・・・それなら、緋凰が笑ってれば、一番幸せなのに・・・。
他のもの、どうでもよくなっちゃうくらい幸せなのに・・・。
「まだ、寝てろ。もう少ししたら、起こすから」
頬を包んでくれていた手が、馴れた手つきで、子守歌代わりに私の頭を撫でてくる。
ここで寝たら、この夢は終わりよね・・・。
そう考えたら、まだ寝たくなんかなかった。
もっと、この夢の中にいたかった。
緋凰の笑顔を見たかった。
「緋凰・・・笑って・・・?」
どうにか言ったその言葉が、緋凰に届いていたのかどうかは疑問。
けど。
「寝ろ。」
緋凰は笑ってくれたのを確認したら、安心して、寝てしまった。
*
あったかくて、紅茶のいいにおいがする。
本当は目をあけるほど元気はなかったけど、なんだか気になった
すると、そこは私の部屋だった。
いいにおいを漂わせていたのは、私の好きな銘柄の紅茶。
お供のお菓子まで、しっかり準備ずみ。
その時、右手の不自然に気がついた。
右手だけ、すごくあったかくて、気持ちいい。
「織葉・・・?」
呼ばれて視線だけそちらに向けると、心配そうな顔をした緋凰。
右手があったかいのは、緋凰が握ってくれているからだった。
何もしゃべらず、視線だけしか動かさない私を、余計に心配になったのか、緋凰の手が私の頬に伸びてきて、包み込んでくれる。
なんだか、幸せな状況だな・・・。
この頃の緋凰は、機嫌が悪くて・・・そろそろ、潮時かな、なんて、思っていたくらいだから。
これは・・・夢、かな。
甘えた私が自分に見せる、自分に都合のいいだけの夢。
・・・それなら、緋凰が笑ってれば、一番幸せなのに・・・。
他のもの、どうでもよくなっちゃうくらい幸せなのに・・・。
「まだ、寝てろ。もう少ししたら、起こすから」
頬を包んでくれていた手が、馴れた手つきで、子守歌代わりに私の頭を撫でてくる。
ここで寝たら、この夢は終わりよね・・・。
そう考えたら、まだ寝たくなんかなかった。
もっと、この夢の中にいたかった。
緋凰の笑顔を見たかった。
「緋凰・・・笑って・・・?」
どうにか言ったその言葉が、緋凰に届いていたのかどうかは疑問。
けど。
「寝ろ。」
緋凰は笑ってくれたのを確認したら、安心して、寝てしまった。
*