香る紅
ワンピースの丈の長い制服を、下からたくしあげられる。

けど何故かしら。

あまり、恐怖は生まれない。

むしろ、興ざめ、というか・・・。

こんな気持ちになるのは、緋凰のおかげかな?

私の貞操の危険、ということで、ここで手を出しても私は正当防衛になるだろうと思って、祈咲ちゃん直伝の『いい織葉、ヤられそうになったらね、・・・』を、実行してみることにした。

私の上に乗っていた一人の股間を、思い切り蹴りあげてやった。

うわ・・・。生々しくって、厭だわ。

「いい加減にしてください。」

すると、私がまさかそんなことをするとは思ってなかったらしく2人はびっくりしたように、―――私に蹴られた人は死にそうに痛そうに―――動きを止めた。

へー・・・男の人って、やっぱり、すごい痛いんだ・・・。

そんなのんきなことを思いつつ、愛想笑いすらももったいなく感じて無表情に。

「私には心に決めた人がいます。その人―――緋凰に、一生をささげることを決めました。だから誰とも私はお付き合いする気はございません。」

私の思わぬ怒りになぜか委縮した3人は、襲おうとした時のケモノさをどこにやったかというほどだった。

「・・・緋凰くんと、織葉さんは付き合ってるのか?」

とりあえず、しゃべれば、帰してくれるのよね、そんなやけっぱちな気持ちだった。

「私が、緋凰とつきあうとか・・・そういう関係になることはありません。あり得ません。・・・私が許しませんから。」

と、そこに、思わぬ声が聞こえた。

「あんたら、人のモノに手ェだすとは、勇気あるなぁ?」

まさかと思って振り返ると、やっぱりそれは緋凰だった。




< 27 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop