香る紅
屋上を後にしたときは、すでに1時間目が終わろうとしている時だった。

あーあ、完全にサボる羽目になっちゃったじゃない。

織葉を呼び出したやつ、後で調べて、シメてやる。

一人屋上から緋凰が出て行った、屋上でなぜか実紘の膝の上に座らされた。

・・・誰かに見られたら、恥ずかしいのに・・・。

でも嬉しかったから、人が来ないことを祈りながら、甘えてみる。

「ね、実紘。なんで、最後あんなこと言ったの?いつもだったら、そのまま緋凰のこと家に帰してたでしょ?」

私の髪や頬にキスをしていた実紘はさもおもしろそうに話した。

「御門一族のパートナーしてる俺らの人権を、考えられないようなやつに将来御門一族を継いでなんか欲しくないし?何より、人間らしい緋凰見るの、楽しいし。」

これでも、御門一族での将来を約束された緋凰の、片腕的存在だったりする実紘らしい意見。

そして。

実紘って、緋凰のこと好きだなぁ、と思わずにはいられない、一瞬だった。





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