香る紅
とりすぎて織葉が気を失いかけた時は、罪悪感はあれど織葉を家に閉じ込めておけることに安心した。

けどそれでも、織葉が俺について学校に来ようとしたことが嬉しくて。

織葉への愛情が、どんどん、歪んでいく。

さすがに織葉が授業中に倒れた時には罪悪感しかなかったけど。

俺の、ものすごく幼い独占欲のせいで、織葉は死人のように白く、透けて消えてしまうんじゃないかと思うほどで。

逆井の運転する車の中で、消えてしまいそうで怖くて怖くて、織葉を抱きしめたまま動けなくなってしまった。

今日の朝、織葉を心配した気持ちにうそはなかったし、甘えてきてくれたことは、嬉しくて嬉しくて、しょうがなかった。

でも、織葉の行方が分からなくなって、見つけ出してみれば、わけのわからない野郎たちに押し倒されていて。

それで、また、我を忘れた。

実紘に殴られてやっと落ち着いてまわりを見渡すと、織葉が昨日のような顔色で足元に倒れていた。

それを見て、安心てしまった、そんな自分が、一番いやだった。

こんな歪んだ愛情で、織葉を愛したくないから。

祈咲から思わぬ活が入って、びっくりしたけど。

もう、こんな、辛い関係、終わりにするから。

とりあえず。

織葉に、会いたい。




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