香る紅
「・・・緋凰?」
歪んだ笑みは消え、歪んだ怒りの表情になっていた。
「わかってもいねぇくせに謝るんじゃねぇよ。わかんねぇなら大人しくとられてろ。」
言い切ると私の着ていたキャミソールの肩紐を服が破れるくらいに思い切りおろして、右の肩口に顔を埋めて、私の肌を舐めた。
「・・・っひお」
ごめんなさい、と、いおうとしたのに。
『ブツッ』
自分の肩口から聞こえてきた、緋凰の歯が皮膚を破った音に、止められてしまった。
痛みはないけど、それが黙れ、と言われているようで。
―――ずるっ、ごく、ずるっ、ごく、―――
緋凰から聞こえてくるのは、体内の流れを逆らってとられる、生々しいそんな音。
「・・・は、・・・ん、」
とられるたびにぞくっとして、声が漏れるのだけは、どうしても直せない、癖。
どんどん力が抜けてきて、立っていられなくなってきた。
これは、限界の合図。
これ以上とられると、今日はもう学校には行けない。
「緋凰、も、むり・・・んっ・・・。」
いつもはこれでやめてくれるのに、今日は、なんで?やめてくれない。
「ひおう・・・。あ・・・っ、おねがい、ゆるして・・・。」
本格的に足の力が抜けて、緋凰に力の入らない手で縋りつく。
・・・そうするとしっかり抱きしめて支えてくれるのに。
ねぇ、緋凰、こんなに優しくしてくれるのに、何を怒ってるの?
「ひおう・・・ごめんね・・・。」
「・・・・・・!!」
そういうと、なぜか緋凰はすごくびっくりしたように、突然私から離れた後、私についた牙の後を舐めてきれいに直して、抱き上げてソファに寝かせてくれた。
緋凰の瞳はすでに金色からいつもの赤っぽい茶色に戻っていて、私の頭を撫でてくれた。
けど、表情は辛そうなものに変わっていて。
「しんぱい、しないで・・・?わたし、だいじょうぶだよ・・・。」
見てられなくて、だけど私が言った言葉で緋凰は顔を背けた。
「・・・今日は休め。」
それだけ言い残して、早足で部屋から出て行ってしまった。
*
歪んだ笑みは消え、歪んだ怒りの表情になっていた。
「わかってもいねぇくせに謝るんじゃねぇよ。わかんねぇなら大人しくとられてろ。」
言い切ると私の着ていたキャミソールの肩紐を服が破れるくらいに思い切りおろして、右の肩口に顔を埋めて、私の肌を舐めた。
「・・・っひお」
ごめんなさい、と、いおうとしたのに。
『ブツッ』
自分の肩口から聞こえてきた、緋凰の歯が皮膚を破った音に、止められてしまった。
痛みはないけど、それが黙れ、と言われているようで。
―――ずるっ、ごく、ずるっ、ごく、―――
緋凰から聞こえてくるのは、体内の流れを逆らってとられる、生々しいそんな音。
「・・・は、・・・ん、」
とられるたびにぞくっとして、声が漏れるのだけは、どうしても直せない、癖。
どんどん力が抜けてきて、立っていられなくなってきた。
これは、限界の合図。
これ以上とられると、今日はもう学校には行けない。
「緋凰、も、むり・・・んっ・・・。」
いつもはこれでやめてくれるのに、今日は、なんで?やめてくれない。
「ひおう・・・。あ・・・っ、おねがい、ゆるして・・・。」
本格的に足の力が抜けて、緋凰に力の入らない手で縋りつく。
・・・そうするとしっかり抱きしめて支えてくれるのに。
ねぇ、緋凰、こんなに優しくしてくれるのに、何を怒ってるの?
「ひおう・・・ごめんね・・・。」
「・・・・・・!!」
そういうと、なぜか緋凰はすごくびっくりしたように、突然私から離れた後、私についた牙の後を舐めてきれいに直して、抱き上げてソファに寝かせてくれた。
緋凰の瞳はすでに金色からいつもの赤っぽい茶色に戻っていて、私の頭を撫でてくれた。
けど、表情は辛そうなものに変わっていて。
「しんぱい、しないで・・・?わたし、だいじょうぶだよ・・・。」
見てられなくて、だけど私が言った言葉で緋凰は顔を背けた。
「・・・今日は休め。」
それだけ言い残して、早足で部屋から出て行ってしまった。
*