香る紅
「――――――!!」
そして、やっと視界の中にとらえて、いてもたってもいられなくて、走り寄る。
織葉は、ベンチに座って、ボストンバッグを抱えて、それに突っ伏すようにしてうなだれていた。
「織葉。迎えに来た。」
「・・・」
織葉が、俺のことを拒絶するはずない―――そんな自信を持って話しかけたけれど、織葉からは何も返事が返ってこない。
その織葉の態度に、心が冷えていく。
「―――返事をしろ。」
「・・・」
それでも、何も返事がない。
いや、こんな偉そうなことを俺は織葉に言いたいわけじゃない。
なのに、うまくしゃべれない。
「―――謝るから!」
「・・・」
織葉はそこまで怒っているのか・・・そう、絶望が心を占拠しそうになった時に気付いた。
「・・・織葉?」
・・・寝てる、のか?
少し気の抜けたような気持ちになる。
織葉の体は、規則正しく上下していた・・・けれど、なんだかその規則が、妙に早い。
先程車の中で抱いた嫌な予感のことを思い出して、織葉の肩をつかむ。
「織葉!具合が悪いのか?織葉!!」
少し揺らしただけなのに、織葉は俺の方に、力なく倒れこんできた。
体はコートの上からでもわかるほど熱く、呼吸は速いが弱弱しく、顔が赤い。
「織葉―――!!」
*
そして、やっと視界の中にとらえて、いてもたってもいられなくて、走り寄る。
織葉は、ベンチに座って、ボストンバッグを抱えて、それに突っ伏すようにしてうなだれていた。
「織葉。迎えに来た。」
「・・・」
織葉が、俺のことを拒絶するはずない―――そんな自信を持って話しかけたけれど、織葉からは何も返事が返ってこない。
その織葉の態度に、心が冷えていく。
「―――返事をしろ。」
「・・・」
それでも、何も返事がない。
いや、こんな偉そうなことを俺は織葉に言いたいわけじゃない。
なのに、うまくしゃべれない。
「―――謝るから!」
「・・・」
織葉はそこまで怒っているのか・・・そう、絶望が心を占拠しそうになった時に気付いた。
「・・・織葉?」
・・・寝てる、のか?
少し気の抜けたような気持ちになる。
織葉の体は、規則正しく上下していた・・・けれど、なんだかその規則が、妙に早い。
先程車の中で抱いた嫌な予感のことを思い出して、織葉の肩をつかむ。
「織葉!具合が悪いのか?織葉!!」
少し揺らしただけなのに、織葉は俺の方に、力なく倒れこんできた。
体はコートの上からでもわかるほど熱く、呼吸は速いが弱弱しく、顔が赤い。
「織葉―――!!」
*