香る紅
美詠子や秋野も出て行って、織葉と俺と、二人きりになったとき。
織葉の頬に、恐る恐る手を伸ばした。
これは、本当に織葉だよな。
息をしているのはわかるけど、動かないし、目を開けないし、しゃべらないし。
織葉を取り戻した感覚が薄かったから。
人形じゃないか、なんてバカげた心配を抱いたから。
織葉を起こさないように、優しく触れると、そこは暖かくて、そのぬくもりが、織葉だと感じれた。
こんなことすれば、笑って「なぁに?」とかって、返ってくるはずなのに。
俺が何かすれば、必ず反応を返してくれるのに。
「早く、起きろよ・・・。」
織葉はここにいるけれど、まだ、ちゃんとした意味で織葉を取り戻したわけじゃないから。
ちゃんと、話したい。
それにしても、織葉に冷たくされるのは、応えるな・・・。
そんな自分勝手な感想を抱いて、でも織葉の手を握ったまま、そこから動く気にはなれなくて。
秋野や美詠子に「休んでくださいぃぃー!」と懇願されるまで、そこから離れられなかった。
*
織葉の頬に、恐る恐る手を伸ばした。
これは、本当に織葉だよな。
息をしているのはわかるけど、動かないし、目を開けないし、しゃべらないし。
織葉を取り戻した感覚が薄かったから。
人形じゃないか、なんてバカげた心配を抱いたから。
織葉を起こさないように、優しく触れると、そこは暖かくて、そのぬくもりが、織葉だと感じれた。
こんなことすれば、笑って「なぁに?」とかって、返ってくるはずなのに。
俺が何かすれば、必ず反応を返してくれるのに。
「早く、起きろよ・・・。」
織葉はここにいるけれど、まだ、ちゃんとした意味で織葉を取り戻したわけじゃないから。
ちゃんと、話したい。
それにしても、織葉に冷たくされるのは、応えるな・・・。
そんな自分勝手な感想を抱いて、でも織葉の手を握ったまま、そこから動く気にはなれなくて。
秋野や美詠子に「休んでくださいぃぃー!」と懇願されるまで、そこから離れられなかった。
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